日本では初めて取引が可能になった、通称「楽天SCHD」ですが、9月27日に楽天証券が販売開始しました。あまりの人気に投資家界隈では大きなニュースになっており、発売から5日で100億円以上の申し込み(純資産総額)があったことでも話題になっています。
11月8日時点では、純資産総額が579億円になっています。
これがすごい事なのか、ピンとこないですよね?日本で人気の高配当ETF「VYM」を例に考えると、本国米国ではVYMより人気があるのが、SCHDです。純資産総額を比較すると、VYM590億ドル、SCHD630億ドルと40億ドルほど上回る結果になっています。
楽天証券を通じて、SCHDに投資を行うので、楽天SCHDと呼ばれていますが、楽天証券での投資信託としての商品名は「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」となっています。楽天SCHDと検索しても表示されないので気をつけましょう。
- 最低10年配当実績あり
- 時価総額5億ドル以上
- キャッシュフロー・負債比率が優良
- 配当利回りが高い
- 過去5年間の配当成長率が優良
- ROE(自己資本利益率)が高い
これらの条件を満たした配当利回り上位100名柄に均等加重で投資します。
簡単に言うと、「経営が安定していても小さい会社は除き、10年以上配当を出していて、配当利回りが高く、1株あたりの配当金も増え続けている企業100社」に投資する商品です。
毎年3月に構成銘柄の見直しが行われ、投資信託の決算は2,5,8,11月の各月25日です。9月27日時点の配当利回り3.43%です。
配当金の支払いは決算日から5営業日となっているので、決算月の翌月月初に配当金が支払われるイメージになるでしょう。
信託報酬手数料は0.192%です。(本家SCHDの経費率0.06%に楽天の手数料が乗る形になります)
構成上位10銘柄
SCHDは米国の配当利回りが高い100社で構成されています。
2024年8月末の上位10銘柄は以下の通りです。
組入上位銘柄の業種割合に偏りがなく、今後の安定成長がイメージしやすい内容になっています。
業種別構成比率
(2024年6月末現在)
現状、景気敏感と言われる「金融」セクターが最大にはなっていますが、1セクターの構成割合が20%未満なので、バランスは良さそうです。
SCHDでは、1銘柄の構成割合が4%。1業種の割合が全体の25%を超えないようにコントロールされています。
積立OKの理由
高配当投資の鉄則は、逆張り投資です。
財務優良で業績好調な企業でも、政策動向や社会情勢不安、為替などで一時的に大きく株価が動く事があります。こういうチャンスを狙って、株価が下がった時に買うのがベストですが、こういう大きな下げは年に何度もあるものではありません。
では中々チャンスがやってこない高配当株投資ですが、SCHDなら積立投資を行ってもいいのではないかと思います。
- 高い増配率(VYM超)
- 過去10年の増配率、年平均11.4%
- 直近5年平均の株価成長率は年平均約10%
- 2011年の運用開始からの年平均は9.9%
増配率が高い
SCHDの増配率は過去10年平均で11%です。
今年100円の配当金が何もしなくても、翌年は111円になるのが増配率11%です。
持っているだけで毎年配当金が増えるのは嬉しいですね。
トータルリターンの高さ
トータルリターンとは配当➕値上がり益の合計を指すものです。
人気米国ETFの過去5年トータルリターンを確認してみましょう。
- VOO 15.24%
- SCHD 12.46%
- VYM 10.62%
VOOは高配当ではありませんが、インデックス投資と高配当株投資を比較するために抜粋しました。VOOの分配利回りは1.2%程度と相対的に高くありませんが、値上がり益が大きいので、1番成長率が高くなっています。
では積立の成否を握る、株価成長率の比較ですが直近5年平均は以下の通りです。
- VOO 17.3%
- SCHD 10%
- VYM 8.2%
S&P500の年平均成長率が30年平均で11%程度と考えると、コロナショックという大きな下げはあったものの、VOOは17%超なので昨今のハイテク株の成長率が大きく寄与しています。
積立投資では、株価が右肩上がりでないと成立しません。配当利回り約3%のVYM,SCHDにおいても、過去5年チャートであれば十分積立が成功する株価成長率です。最近では2020年以降の米国株成長率が高いため、投資ブームとなっていますが、2000年〜2010年の期間を見れば、S&P500はほとんど成長をしていないどころか、2010年時点ではリーマンショックの下げを回復できていないため、マイナスとなっています。
株価が伸び悩んでる期間でも、配当金がもらえるなら追加投資の意欲を掻き立てますね。
- 積立、長期、分散のアンサーと言われるS&P500の30年平均リターンは約11%
- SCHDの13年平均の株価成長率は年平均約9.9%(リーマンショックを含まない)
- 直近5年のSCHD株価成長率は年平均約10%(コロナショックを含む)
配当と税金
- NISA口座は成長投資枠で投資可能(投資元本1200万円まで)
- 分配金再投資はNISA枠を消費する
- 決算日から5営業日目に「預かり金」に入金されます(円で入金)
- 「投信分配金自動振込サービス」で口座登録しておけば、指定した銀行口座に入金も可能
配当金シュミレーション
NISA口座と特定口座のリターン差
SCHDを購入する上で悩んだのが、NISAで買うべきか?特定口座でも構わないか。という2択です。
私は現在SBI証券でNISA口座を開設しているので、楽天SCHDをNISA口座で購入するには、移管手続きが必要です。
- 移管手続きをしてわざわざNISA口座を選択しなくてもいい
- 配当金は「受取り」で運用する
毎月5万円の積立投資で毎月5万円の配当金をもらうためには何年かかるのか?NISA口座と特定口座でそれぞれシュミレーションしてみました。
(※積立と記述していますが、増配率や株価成長率の計算上、かなり苦労するので年間投資資金は年初一括投資で計算しています。)
NISA口座の場合
- 毎月5万円
- 投資期間15年
- 分配利回り3.4%
- 増配率11%
- 株価成長率9.9%
以上の条件で資産すると…
15年後の年間分配金は663,454円
月分配金55,287円になります。(累計投資額は8,974,330円)
特定口座の場合
- 毎月5万円
- 投資期間16年
- 分配利回り3.4%
- 増配率11%
- 株価成長率9.9%
年間分配金は671,601円です。
月分配金は55,966円(累計投資額は9,592,427円)
NISA口座の場合15年、特定口座の場合16年かかることがわかりました。
その差1年です。運用期間15年の1年差は私の場合、小さいように感じます。
ちなみに特定口座で運用した場合、毎年の配当金推移は、
3年目で4,562円
6年目で10,920円
10年目で23,452円
16年目で55,966円
配当金は再投資?使うべき?
NISA口座であれば『受取り』を選択しましょう。
特定口座であれば、『受取り』or『再投資』どちらでもOKです。
前提として、SCHDに投資を検討中であれば、配当金は使うのがいいのではないでしょうか。
日々の手取りを多くして、生活を良くしたい人が高配当株を行うのであって、資産拡大が目的であれば、配当を出さないS&P500やオールカントリーのようなインデックス投資の方が生涯リターンは大きくなります。
トータルリターンはインデックスに劣る高配当株ですが、最大のメリットは定期的な配当金を受け取ることで投資をしていて良かったと実感できることです。
また、NISA口座の場合、「受取り」や「再投資」などの配当金受取り方法は、一度選択すると購入した後の受取り方法の変更はできません。
配当金をもらうための投資信託のはずが、「再投資」で購入してしまうと配当金をもらえることはありません。前述しましたが、配当再投資の投資金額はNISA枠を消費します。配当再投資が投資効率に優れるのは事実ですが、投資効率を求めるのであればインデックス投資を選択しましょう。
配当金受取方法の変更方法(特定口座のみ)
特定口座で購入した楽天SCHDは、運用の途中で『再投資』↔︎『受取り』の変更が可能です。
NISA口座で購入した楽天SCHDは、変更できません。
ログイン後、以下の順で選択していきます。
- 投資信託
- 保有商品
- 詳細
詳細を選択すると上記の画面になります。
分配金コースの「受取型」を選択すると、「受取型」↔︎「再投資」の変更が可能です。
「受取型」を選択すると、上記の画面になります。
- 取引暗礁番号を入力し
- コース変更を選択しましょう
コース変更の可能時間は6:00〜18:00間のみです。
まとめ
- 楽天SCHDは高配当株ながら積立投資にも向いてそうな投資信託として注目
- 運用開始1ヶ月で純資産総額400億円を突破
- 日本人の投資マインドでは、今すぐ投資結果が実感できる、高配当個別株や投資信託が人気
- SCHDはインカムもキャピタルも両方狙える優良商品
- トータルリターンでは、S&P500に劣る
- 配当金は「受取り」がおすすめ
- 特定口座での運用なら金額が小さいうちは「再投資」に設定するのもおすすめ
- 楽天クレジットなら毎月10万円積立投資までポイントがもらえる
- 楽天ペイなら毎月5万円積立投資までポイントがもらえる
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