ここ数十年の健康ブームの大波の到来を誰もがお気づきだと思います。
なかでも運動と食事の重要性はいわずもがな、もはや”あたりまえ”のレベルといってもいいでしょう。
そんな運動と食事と並んで人間にとって最も重要な事のひとつと言えるのが睡眠です。
だれでも毎晩、タダでいくつもの健康的な効果を得られるという優れものですが、
それに気付いていない方が、まだ少なくありません。
僕らの世界には大きくふたつの世界があり、
それは「覚醒中の世界」と「睡眠中の世界」です。
「睡眠中」は自分をコントロールできず、やりたいことが進まないからと睡眠時間を削ってしまいがちですが、
しかし、決して「覚醒中」にはできない、「睡眠中」にしかできないとても重要なことがあります。
今回は、そんな睡眠に関して、書籍『熟睡者』より抜粋させて頂きながらご紹介いたします。
世界で1番眠れていない民族
人類の睡眠不足は電球の発明により急速にすすんだのだと言われています。
現代ではスマホやSNSがさらに拍車をかけている感じです。
そんな中で日本人は勤勉で労働時間が長い民族として世界的に有名です。
それにあわせて、日本人は世界で1番睡眠時間が短いことでも有名です。
以下の表は”レスメド”による2023年世界睡眠調査の結果です。
対象国は世界12か国(オーストラリア・ブラジル・中国・フランス・ドイツ・インド・日本・メキシコ・韓国・シンガポール・イギリス・アメリカ)、成人20,069人に調査を行いました。
結果は御覧の通り、日本の睡眠時間は12か国中で最も短く最下位の6.5時間で、1位のブラジルの7.8時間と比べて1.3時間も短いんです。
睡眠不足による悪影響
睡眠時間が極端に短い方はもちろんですが
充分な睡眠時間をとっているはずなのに翌朝だるかったり頭が冴えないひとは睡眠の質が良くないと言えます。
睡眠の質の悪さ、時間の短さが、僕らの頭・体・心に及ぼす悪影響は計り知れません。
それは健康的に生きるためには致命的で深刻なダメージになると言えるでしょう。
- 肥満になりやすくなる
- 病気にかかりやすくなる
- ストレスに弱くなる
- 記憶力の低下
- 運動機能の低下
- 感情面が不安定になる
肥満になりやすい
睡眠不足になると、食欲を抑制するホルモンの分泌量が減少し、逆に食欲を増進させるホルモンの分泌量が増加します。
これにより、常に何かを食べたいという状態になり、過食につながりやすくなります。
また、基礎代謝を低下させ、消費エネルギーが減ります。そのため、同じ量の食事を摂っていても、太りやすくなります。
睡眠不足で目覚めた日は、疲労感やだるさを引き起こし、運動する意欲が低下します。運動不足は、基礎代謝をさらに低下させ、肥満を招きます。
感染症にかかりやすい
充分な睡眠が足りていない人はウィルスや細菌性の感染症に羅漢しやすくなってしまいます。
成人では7~9時間の睡眠をとる場合に有病率が最も低いのだそう。
睡眠の質が免疫システムの円滑な働きに重要で、健康維持の決め手となるのだそうです。
そのため、眠りが浅く頻繁に目が覚める人は質の面の不足を睡眠時間の長さで補わなければならないんです。
記憶力の低下
睡眠不足は集中力や創造性の欠如、記憶力の低下を招いてしまいます。
睡眠中、脳は日中に得た情報を整理整頓し、長期記憶へと変換する作業を行います。
新しい記憶を過去の経験と関連付けて、意味のある情報として統合する働きが活発になります。
また、睡眠中は、記憶に関わる神経回路が強化され、記憶の定着が促進されます。
運動機能の低下
運動機能の向上や維持には睡眠が必要不可欠です。
運動のパフォーマンスだけではく新しい運動の習得にも大きく関与しており
自転車の運転や楽器の演奏のような運動など新たに習得しようとするものの記憶の定着に睡眠がとても重要な役割があります。
特に浅い睡眠時には特に特定の運動や動作が定着する。
裁縫、絵を描く、靴ひもを結ぶ、タイピングやダンス、ランニングなどがその代表的です。
感情が不安定になりやすい
睡眠が足りない人はストレスや不安を感じやすくなり、衝動的で短気になり、傷つきやすくなる。
感情や思考、行動をコントロールする認知機能、などの実行機能の低下を招くため、
状況を把握し、適切なタイミングに適切な判断をくだすのが難しくなってしまいます。
質のよい睡眠をとるには
光とうまく向き合おう
目は「朝」と「夕」の2度のタイミングで光に敏感になります。
朝、網膜が太陽の光をキャッチすると
通称「マスタークロック」とも呼ばれる器官に光の信号が送られ
体中の各細胞に存在する体内時計に対し「朝だ!1日が始まるぞ!」とメッセージを送ってくれる
いわば、太陽の朝の光が覚醒のスイッチをONにしてくれるんです。
朝と同様に夕方も光に敏感に反応します。
暗さと静けさは、就寝の時間であることを体に知らせる重要な信号なのです。
実際には日没後も暗闇も静寂も訪れていないことは問題です。
光に敏感な朝の時間(遅くても午前中)に外で活動し、
日没後はできるだけ光を避けて生活することで、質のいい睡眠がとりやすくなるそうです。
部屋の電球や蛍光灯の昼光色にするだけでも効果があるようです。
朝、牛乳を飲んで、夜ぐっすり眠る
牛乳には、体内で生成できない必須アミノ酸のひとつの『トリプトファン』が含まれています。
この『トリプトファン』は安眠効果があると言われています。
また『トリプトファン』は、メラトニンや幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンなどのホルモンの原料となることで、幸福を感じやすくなったり、質の良い睡眠をとりやすくしてくれると言われています。
- トリプトファンがセロトニンを生成するには太陽の光が必要でなので、牛乳は朝に飲むのがよいとされています。
- セロトニンがメラトニンに生成されるには約14~15時間かかります。夜寝るときにメラトニンを分泌させるには牛乳を朝に飲む必要があります。
寝室の温度を下げてぐっすり眠る
体温の低下は就寝時間の訪れをしらせる。
夏はクーラーをつけ冬は暖房を強くし過ぎないこと。
就寝前には入浴をし湯舟につかり体温を一時的にあげることで体温が低下する状態(時間)をつくるのも効果的だといえます。
酸素をたくさん摂り入れぐっすり眠る
可能であれば寝室の窓やドアを開けて部屋に酸素をたくさんいれましょう。
部屋の酸素濃度が高まる事でぐっすり眠りやすくなります。
寝室の換気をすることで酸素を摂り入れ湿気や臭いなどを逃がすことができ、
その結果、快眠につながります。
まとめ
睡眠は、単に体を休めるだけでなく、脳と体の様々な機能に深く関わっています。
睡眠不足は、様々な健康問題を引き起こす原因となるため、質の高い睡眠をとることが重要です。
免疫力が低下して感染症に風邪などにかかりやすくなり、
代謝が悪くなり、肥満や糖尿病のリスクが高まり、
高血圧や心疾患のリスクも高まり、
さらには、うつ病のリスクまでも高まります。
睡眠不足による悪影響は数え上げればキリがありません。
質の高い睡眠が大事なのは言うまでもありませんが
そのためには質のいい食事と適度な運動も大事です。
この3つのはそれぞれが微妙に密接に関係しています。
どこかでいいサイクルにできれば生活の質も上がると思います。
ぜひ正しい知識を得て実践してみてください。
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