夏といえばホラーです。
今回はホラー金字塔を打ち立てたとっておきの伝説のホラーをご紹介したいと思います。
鈴木光司先生の「リング」です。
映画にもなった有名な作品なので知っているかと思います。
いわゆる「お化け」といえば「髪の長い白い服の女」というド定番の設定はそのままに
その女が出てくる所は「井戸」から出てくる時代から「TV画面」から出てくるという新時代へ・・・。
続編の「らせん」も映画になってかなりヒットした有名作品です。
しかし実は3部作だって知ってる人は少ないかもしれません。
3部作の3作目には「ループ」というタイトルがつけらています。
が、映像化はされていません。
残念ながら、この物語を知りたい方は本を読むしかないのです。
リング
ホラー新時代の幕開け
今となっては、だいぶ古典的なホラーの扱いですが当時は、かなり最新のホラーとして斬新な設定とストーリーでした。
『呪いのビデオ』のパイオニアって感じでしたね。
今の若い方はビデオテープを知らない方もいるかもしれませんが・・・。
観てしまうと1週間後に必ず死ぬという呪いのビデオ・・・・。
そして日本ホラー界の歴史にその名を刻んだ伝説の女、『貞子』
逃げ場なしの恐怖。文句なしに怖い・・・。
初めて小説を読んで怖いと思った作品でして思い出深い作品です。
映像作品
原作小説は1991年発行で、その後、1995年に単発TVドラマ化され、1998年には続編の「らせん」とともに同時に映画が公開されました。
2002年にはハリウッドで「ザ・リング」というタイトルでリメイクもされています。
あらすじ
主人公(浅川)の親戚が心臓麻痺で亡くなってしまい葬儀に参列します。
同じ年齢の複数人の10代の若者たちが同日の同時刻に皆、心臓麻痺で亡くなっていることを知ります。
若者の不審死の謎を探るうちに「呪いのビデオ」の存在を知ります。
昔から知り合いである不思議な現象を専門に研究している大学の先生(高山)の助けを借りて呪いの謎に迫ってゆくストーリ。
僕の記憶の限りではこの「リング」の登場までは、このようなジャンルの小説がなく
「SFホラー」という新しいジャンルの誕生でした。
この3部作の中で1番ホラー色が強い作品だと思います。
らせん
SFホラー
完全に「リング」の続編のお話です。映画が同時公開だったのもあって、すぐに続きを観た方も多いかもしれません。
原作小説と映画化の関係性において
どちらを先に「読む」or「観る」かという問題がありますね。
もちろん、どちらかだけしか見ないって方もいると思います。
過去、何度か経験があるんですが、映画化が決まってキャスティングが発表されてから小説を読むとストーリーがすんなり入ってくる感覚があります。※あくまでも個人の感想です。
あらすじ
ネタバレになりそうなので、すべてをさらすのは避けますが
「リング」作中にて、呪いの謎が解明したかに思えたのですが・・・
ほとんど行動を共にしていた2人に「死の呪いを回避できた者」と「呪いを回避できなかった者」が存在。
普通とは思えない形相の心臓麻痺遺体を解剖することになった高山の同窓生の解剖医。
そして、なぞの「リング・ウィルス」の発見。
「らせん」は「リング」よりホラー色がすこし薄れSF色が色濃くでてくる作品のような印象です。
読み終わってから考えると「らせん」のタイトルの本当の意味が見えてくる感じがします。
そして、物語の最後は驚きの結末が・・・。
「浅川」や「高山」の運命は・・・そして「貞子」の存在は・・・?
ループ
このループという小説を読んでいたとき、しばらくは「ほんとに『らせん』の続編であってる?」っておもいました。
それくらい、序盤は、まったく「リング」や「らせん」を思わせるシーンや登場人物は出てこず。
何かも間違いなんじゃないかとすら思いました。
SF小説
完全なるSF小説と化した「ループ」もはやホラー色は、ほとんど見受けられません。
ある意味、それこそが1番怖いところです。
あらすじ
あらすじを書いてしまうと、かなりネタバレになってしまうのであえて触れませんが、物語は世界や時代そのものが完全に違うところから始まります。
物語の中盤頃から思いもよらないところから「高山」や「浅川」といった名前が出てきて、
ここで、やっと「あ、『リング』『らせん』の続きの物語であってるんだ」と思えました。
結論をいってしまうと、その名前は出てきますが、その人物は登場しません。
現在でこそ”普通に可能”っぽいようなことが小説内で描かれていますが
当時からすると突拍子もない、かなりのSFでした。
現在の技術や思考が「ループ」に追いついてきた、といった感じがします。
映像化
残念ながら「ループ」は映像化されていません。
「リング」や「らせん」をホラー色強めに映画化してしまった関係でしょうか?
あまりにも色の違う作品になってしまいホラーのテイストから離れすぎてしまったからなのかもしれません。
正直、当時の技術で映画化したとしてもチープな作品になってしまっていたかもしれませんね。
今のVFXなどを使えばきっと素晴らしい作品になると思うので、是非観てみたいところです。
まとめ
衝撃的なストーリー展開と結末でした。
「リング」「らせん」を読んだ方は「ループ」も読んでいるかもしれません。
映画でしか観ていない方は是非「ループ」も読んでみてください。
完全にホラー小説ではないので、ホラーを期待しているかたには残念ながらオススメできません。
ホラーも好きだしSF好き、という方は是非「リング」から始まる壮大なストーリー展開に感動してください。オススメです。
スピンオフ
関連作品
リングシリーズには3つのスピンオフ作品があります。
- バースデイ
- エス
- タイド
バースデイ
リングの外伝的なお話です。
若き頃の「貞子」のエピソードや「貞子」誕生の秘話。
リング作中にも登場する「高山」の教え子の「高野」の短編エピソードを収録。
エス
正直、このへんから時系列がややこしくなってきます。
どの順番で読んだら1番スマートなのかが、わかりづらいですが、
刊行順でいうとやはり「バースデイ」のあと、ストーリの時系列でいうと「ループ」のあと、ってことになります。
タイド
エスのつづき、という位置づけの物語です。
あの「高山」も・・・・!?。
リングシリーズ
「リングシリーズ」は合計で以上6作品となります。
「リングシリーズ」というよりは、もはや「貞子シリーズ」といったほうが適切なのかもしれません。
やはり6作品中「ループ」だけが異質のような存在です。
まるで異次元の話のように感じます。
ループを読み終えて鈴木光司先生の発想力の凄さに改めて感服です。
このような体験は、なかなかできるものではありません。
どの作品も鈴木光司先生の独特の世界観と読みやすい文章と表現で、大変読みやすく物語に引き込まれます。
是非、暑い夏に涼しくなるかもしれない体験をしてみてください。
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