円高と株安が同時に来てほしい。このタイミングが米株投資を行う上で、最高のタイミングです。
しかし、円高と株安は中々同時にはやってきません。
2022年年初は1ドル=115円でしたが、同年10月には1ドル=150円を突破しました。
その差35円。年初に10,000ドルの資産を保有していたなら、115万円が150万円まで価格変動することになります。これが為替リスクです。
今回はわかりにくい為替の影響と、米国株投資の手数料を抑える方法を解説します。
為替の展望
長期的に見て、円安は今後も徐々に進行すると言われています。
為替を動かす要因は以下のようなものがあります。
貿易(需要と供給)
過去、日本は輸出大国として栄えてました。
例えば、日本の企業であるトヨタが作った車をアメリカで販売するとしましょう。(日本で作ったものを海外に売るので輸出です。)
日本企業であるトヨタに対して、アメリカの販売店が車を仕入れる際、アメリカの販売店はトヨタに購入代金を支払うために、”ドル”を売って、”円”を買います。
この時、為替は円の価値が上がり、ドルの価値が下がる(円高ドル安)方向に動きます。
なぜこうなるのかと言うと、トヨタは従業員に給料を支払うので、円が必要なのです。
トヨタに勤める従業員も、給料をドルでもらっても日本では使い勝手が悪いので困りますよね。
逆に、日本企業がアメリカから商品を輸入する時は、円を売って海外の通貨を買うので、円安ドル高方向に力が強くなります。
つまり、輸出金額>輸入金額より高いと自国通貨の価値が上がり、
輸出金額<輸入金額だと自国通貨の価値が下がる傾向にあります。
現在日本は貿易赤字が続き、その要因として円安が大きく絡んでいます。資源価格の高騰も1つの原因ですが、円安の状況だと更に仕入れ値に拍車がかかります。
例えば、タイヤ1個の仕入れ価格を例に考えてみましょう。
1個=100ドル 1ドル=100円
100ドル✖️100円=10,000円
⇩これが、資源価格の高騰と円安になると
1個=120ドル 1ドル=150円
120ドル✖️150円=18,000円
同じタイヤ1個仕入れるのに、8,000円も多く支払うことになります。こうなると必然的に輸入金額は上昇します。輸入金額が上昇すると、ますます貿易黒字を目指すことが難しくなります。
国力(金利と経済発展)
昔は”有事の円買い”と言われ、戦争をしないと宣言している国なので、
他国が経済情勢や紛争で不安定になった時、安全資産として価格変動が少なく、輸出に強い円が買われていました。
ところが、2023年になった日本は人口、出生率、食料自給率、GDPなどで成長の見込めない弱い国になりつつあります。
現在では、安全資産として金や債券が買われています。
企業が成長し、儲かると従業員の給料が上がります。
従業員(国民)の給与水準が上がると消費(買い物)が促されるので、更に企業が儲かります。
こうして経済の好循環のサイクルが回る事をインフレと言います。
企業の新たなサービスや商品、付加価値が世の中に出続けると、モノやサービスの価格は上昇していきます。企業業績が好調になるので、株価も上昇していきます。
インフレサイクルが周り始めると、国はインフレの熱を冷ますために、金利を引き上げます。
「リスクを負って投資しなくても、銀行に預けるだけで高利回りの利息がつきますよ〜」
というように国民に広く知らせるのです。
(※今回解説をわかりやすくするため、国債という表現を使わず、銀行と表現しています。)
そうして銀行預金を増やし、株式や市場に流通している貨幣の量を減らすのです。
(2022年の米国がこの状況でした。)
世の中に流通している貨幣の量が減ると、加熱した商品価格が落ち着き始めます。
金利が高いので、企業も新たな事業のために銀行からお金を借りにくくなります。
国民もリスクをとって株を買うより、まぁまぁなリターンの銀行にお金を預けます。
(株式での資金調達もし辛くなります。)
こうして景気の熱を冷ますのです。
コロナ禍で日本もアメリカも経済が低迷し、失業者を多く出したので、
中央銀行は紙幣を増刷して世の中に出回るお金の量を増やしました。
アメリカは経済回復し、加熱を冷ますため、金利を引き上げています。
日本は多くの業種が業績低迷し、賃金が上がらない状況です。
また、輸入に依存していたため仕入れ価格の上昇が商品価格に影響し、商品価格だけが上昇しています。景気が良くならないので、金利を上げることができません。
この金利差が、「円を持っているより、ドルを持っていた方が儲かる」という状況を作り出しています。
これからの為替を考えてみよう
為替の変動は誰にもわかりませんが、
上述の需要と供給や金利以外にも判断材料があるかもしれません。
円安が進みすぎて、米株の買い時がわからない。という人のための判断材料です。
過去平均
あくまで過去のデータですが、1980年1月〜2022年12月のドル円相場の平均値は131円でした。
これからもそうなるとは限らないが、1つの判断材料です。
ソロスチャート
2国間のマネタリーベース(資金供給量)を比較したチャート。著名投資家のソロス氏が考案したと言われています。ソロスチャートでは、資金供給量が多ければ多いほど、その国の通貨安が進みやすいとされています。最新のデータでは、日本円617兆円、米ドル5兆4187億ドルを計算すると113.9ドルとなりました。
長期目線で考えれば、この水準へ収束していく可能性は十分あるんではないでしょうか。
おすすめの両替方法
住信SBI銀行が手数料最安
米株投資の際は、ドルを買う必要があります。
注文の際、証券会社では”円貨決済”というコマンドが用意されていて、
あたかも口座内の”円”で米株が買えるよう錯覚します。
実際には円⇄ドル⇄株のように通貨交換されています。
その際、1ドル当たり25銭(0.25円)の手数料が発生しています。
人気証券会社の手数料比較
- 楽天証券:購入時25銭 売却時25銭
- SBI証券:購入時25銭 売却時25銭
- マネックス証券:購入時”無料” 売却時25銭
上記の手数料を更に安くできるのが住信SBI銀行です。
米国株を注文する際、”円貨決済”は使用しません。
事前に円を売って、ドルを購入します。
方法は、
住信SBI銀行で円普通預金口座から、外貨普通預金口座(購入手数料は1ドル当たり6銭)へ預け入れます。
手数料を円貨決済の1/4以下に抑える事ができます。
米国株注文の際は、”外貨決済”を使用します。
定額自動買い付け
上述したSBI銀行の外貨普通預金は手数料6銭ですが、更にコストを抑えたのが、
外貨積立(手数料3銭)です。
外貨積立とは、設定した日付と金額で毎月一定額ドルを購入する方法です。
円でドルを自動買付するように、ドルで米国株を自動買付する設定も可能です。
投資ルールの構築をしよう
冒頭でも記述しましたが、一番良いのは円高と株安が同時にやってくる事です。
しかし、良い話はそうそうやってこないです。
そこで重要なのが、”投資ルール”を自分で設定しておくことです。
長期投資で重要なのは、毎月投資資金を固定することです。(暴落時のスポット購入や、昇給時の増額はアリ)
例
外貨積立は毎月一定額行う。
株の定期買付は外貨積立の50%。
株価が5%下落したら、買付資金の1/4をスポット購入。
こういったルールを決めておくことで、暴落相場がきても慌てず着々と資産形成の道を歩むことができます。
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