スズキの戦略とインドの成長

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スズキ株式会社は、2023年8月末までに四輪車の世界累計販売台数8,000万台を達成しました。販売台数の内訳は、国内が2,890万台、海外が5,127万台となりました。地域別では、日本36%、インド32.6%、欧州10%、アジア13.5%、その他(北米、中南米、大洋州、中近東、アフリカ等)7.8%となりました。

スズキの海外販売売上高の比率は、約7割(2022年3月期時点)と非常に高いです。これは、スズキが新興国を中心に経済性に優れたクルマの提供を続けており、特にインド市場で圧倒的なシェアを誇っていることが大きな要因です。

これから人口が増えるインド

国民所得の上昇が見込めるインド

インドの4輪車市場でシェア4割強のスズキ

業績成長が見込めそうなスズキについて紐解いていきましょう

スズキの海外販売が好調な理由

  • インド市場での圧倒的なシェア: インドは人口世界一の大国であり、自動車市場の成長が著しい国です。スズキはインドにおいて長年トップシェアを維持しており、この市場からの収益が全体の売上高を大きく支えています。
  • 新興国への注力: インド以外にも、東南アジアや南米など、新興国市場での販売を積極的に展開しています。これらの地域では、小型で価格の安いスズキ車が人気を集めています。
  • 軽自動車の強み: 軽自動車の開発・製造で培った技術を活かし、燃費がよく、価格も手頃な車を世界中に提供しています。これは、新興国市場で特に求められる要素です。

人口増加と生活水準の向上

米国の人口は約3.3億人で人口増加率は0.4%なので、年間130万人ずつ人口が増えています。
また、米国の人口は2050年頃まで増え続けるとも言われています。

インドの人口は現在14億人で、人口増加率は0.6%なので、年間840万人増加しています。
インドの人口ピラミッドは10〜14歳が1億3千万人強とボリュームゾーンになっています。

インドは2060年頃まで人口増加が続き、2060年時点では、総人口17億人程度になる見込みとも言われています。その後は徐々に人口減少が始まる試算になっています。

インドの人口増加率は低下しつつあるもの、未だ世界トップです。
貧困率や乳児死亡率は低下傾向なので、ゆくゆくはインドの暮らしや経済規模は豊かになる事が予想されています。

暮らしが豊かになる事で、需要増加するのが耐久消費財(クルマ、バイク)です。

食べていく事で精一杯であった生活に「ゆとり」が生じると、「利便性」や「快適性」を求めるようになりまます。

所得と販売価格

インド市場での4輪車の販売価格の平均値は170万円程度です。

また、インドの平均年収や平均月収、初任給などは次のとおりです。

  • 平均月収は中央値で約32,000ルピー(約5.7万円)で、日本の平均月収と比較するとかなり低くなっています。
  • IT人材の平均年収は高い水準にあり、米国・日本に次いで3番目に高い533万円となっています。
  • 大卒の初任給は一般的に25,000ルピー(約40,000円)から30,000ルピー(約48,000円)程度で、年齢が上がるほど少し高くなります。
  • いわゆる「中間層」は、世帯年収が20万ルピー(約56万円)から100万ルピー(約280万円)の人たちです。

インドでは収入格差が大きく開いており、エンジニアの給料に大きな差があります。一般的な平均年収は約150万円程度ですが、データサイエンティストやプロジェクトマネージャーなどの高い技術力を持つ人材の平均年収は約530万円程度です。

2輪車の販売台数は国内シェア3位、世界シェア8位です。

インドで二輪車は通勤・通学の足として親しまれています。

実は2輪車保有率は人口1,000人あたり160台と、現状高水準ではありません。
2輪車販売台数で上位に数えられるのは、人口14億人という大きさが成せる技なのです。しかし、今後の成長余地は大きいでしょう。

そんな、インドの販売状況ですが、近年における1つの特徴として、日本同様にSUVの人気が高まっている点が挙げられます。
実際に、全体市場におけるSUVセグメントの割合は、2017年度が23.8%だったことに対して、2023年度の上期実績では48.3%まで拡⼤しております。

サマリ

売上高

コロナウイルスによる低迷はあったものの、着実に売上を増やし、東証同業種内の輸送用機器では8位となっています。

注目すべきは世界1位の人口と増加率を誇るインドの乗用車市場において、2022年度に販売台数で41.3%のシェアを占め、トップシェアを保持しています。

出典:MARKLINES

4輪車で世界首位のトヨタの6倍以上の販売台数を記録しています。

スズキはインド市場を強化するため、次のような取り組みを行っています。

  • 2024年1月、西部グジャラート州に年産能力100万台の工場を新設するほか、既存工場の能力も年25万台引き上げることを発表。
  • 2030年までに400万台超の生産能力を構築し、シェア50%となる300万台の販売を目標とする。
  • 2030年度までにBEV 6モデルを投入する。
  • 2025年からEV世界戦略車第一弾「eVX」をインド国内だけでなく、日本、欧州をはじめ世界に導入していく。

投資目的「配当と成長性」

10月7日現在、株価は1,598円。配当利回りは2.25%となっています。

配当

過去10年増配を続けています(18-19年は配当維持)
粗利益率は30%弱、営業利益率は8.7%と業種内でも高水準です。
EPS(1株あたり利益)も増加傾向にあります。


株価1,200円まで下がることがあれば利回りは3%となるが、中々底値は堅そうです。

2022年度の4輪車インド販売台数は389万台で、その内160万台(41.3%)をスズキが占めています。
この販売台数を2030年までに300万台を目標にしているので、単純に考えると、インド市場の売上高は2倍近い成長を遂げることになります。

長期的に見て、売上が2倍になるのであれば、利益も引き上げられて株価が伸びると予想できます。

◼ 2025年3月期予想
・年間配当金は、1株当たり36円(分割前ベースでは144円、前期から22円増配)
・配当性向は、22.4%
・研究開発投資、人的投資等のさらなる成長投資とともに企業価値向上に努め、
累進配当方針を維持していく

スズキの想定為替レート

1ドル=145円

1インドルピー=1.75円

インドの経済成長の課題

インドの経済成長課題には、次のようなものがあります。

  • 人手不足と貿易赤字:人口増加に伴う旺盛な内需拡大に製造業が追いついていないため、大幅な輸入超過による貿易赤字が課題となっています。
  • 物価高と失業:物価高騰と失業が二大懸念材料で、2024年2月に実施された世論調査では、モディ政権の最大の失政として「物価高騰・インフレ」が1位、「失業」が2位に挙げられました。
  • 財政赤字:慢性的な財政赤字が続いており、国内のインフラ投資が十分に行えていないのが現状です。
  • 貿易赤字の拡大:原油高の煽りを受け、拡大する一方の貿易赤字を如何に縮小するかも重要な課題です。

インドの格差

  • 富の85%は人口の10%が所有していると推定され、格差は更に広がっていると考えられています。
  • 貧困人口の州間格差も広がっています。
  • さまざまな宗教が混在しており、多数派の宗教と少数派の宗教の間で起る対立や格差が問題になっています。
  • 母子保健サービスの不足により、妊産婦の死亡率が高く、母子ともに貧血の症状が多いこと。
  • 屋外排泄の習慣が絶えず、衛生的な環境が確保されていないこと

インドは、経済規模や経済成長、人口などにおいてさまざまな豊かさを示しています。

  • 経済規模インドは世界第5位の経済大国で、新興国では第2位の経済規模を誇っています。
  • 経済成長インドは「IT大国」として著しい経済成長を遂げており、2027年にはGDPで日本を抜いて世界3位になる予測もあります。
  • インドは若い人口が多く、生産年齢人口(15~64歳)と呼ばれる層が主要国に比べても豊富です。
  • インドは商業、飲食業、宿泊業も強い国です。特に都市ムンバイは約1,400万人が住む商業都市です。

まとめ

  • 総人口14億人超、経済発展中のインドには、4輪車の大きな潜在需要が見込まれる
  • インドは人口増加を続け、所得水準も徐々に伸長している。
  • 中間層の年収はおよそ200万円程度で、自動車の平均販売価格は170万円となっています。
  • トヨタやベンツなどの企業もインド進出をしているが、スズキはインド市場において4〜5割のシェアを獲得している。
  • スズキはインド現地に「マルチ・スズキ」という法人を設立し、現地製造、販売という雇用の創出も担っている。
  • 2030年までにインド国内製造能力を2倍に強化する。
  • 課題は自国内で雇用の創造が進まず、GDPに伸び悩む
    • インフレ傾向にあり物価が上昇する
    • 貧困格差が大きく、富の80%を上位10%の人が保有している
    • 一般市民にとって、4輪車は高額品

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