さて、みなさんこんにちは。
唐突の質問ですが「最近、考えていますか?」
例えば・・・
今日の晩御飯は何にしようか?
次の休みはどこに出かけようか?
今日は、何を着ていこうか?
残念ながら上記の3つは「考えている」のではなく「悩んでいる」状態です。
思考力のない人は「考える」と「悩む」を混同しがちです。
引用元:働く君に伝えたい「考える」の始め方 著者:出口治明
今回は、僕の尊敬する出口治明先生の著書、『働く君に伝えたい「考える」の始め方』から一部抜粋させて頂き、ご紹介したいと思います。
大分県・別府の山頂にある大学、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口先生。
(2018年1月から務めている学長を2期目の任期を終える2023年12月末で退任すると発表されました。)
今回、ご紹介させて頂く書籍を読んでみたら
思考力が広く深くなって、仕事もプライベートも充実して人生が豊かになることだって期待できます。
最近では、残念なことですが、しっかりとした自分の考えを持てていない人や、思考力の乏しい人が増えてきてしまったと言われています。
また、現在、日本も世界も混沌した時代に突入してしまっています。
そんな時代だからこそ「考える」ことの重要性・必要性を出口先生は仰っています。
考える力をつけることで、毎日を明るく楽しく生きる事ができるはずです。
考えることの必要性
ここ数年、TVなどのメディアで「多様性」というワードを本当に良く耳にしますよね。
もう、疑いようのない「多様性の時代」に突入している、と、言えると思います。
そんな時代だからこそ「考える力」は、もはや必須な能力とすら思えます。
自分とは考え方、文化、習慣などが違う他者とのコミュニケーションを図り良好な人間関係を築くうえで大変重要で必要な能力だと僕も思います。
APUの約6000人の学生の半数は海外から来た国際学生だそうです。
そして、教員の半数も海外から来たきてるのだとか。
多種多様な価値観の人達があふれる環境では、いわゆる「暗黙の了解」が通じないようです。
ゼロから自分の考えを論理立てて話さなくては伝わりません。
育ってきた環境や文化、受けてきた教育、話す言語が違う人たちとのコミュニケーションをとるには、思考力、「考える力」が必要ですね。
多様性とは?
多様性という言葉を耳にはしていて、なんとなく解っていても、
説明してくれと言われたら、困ってしまう人も多いのではないでしょうか?
出口先生の言葉を借りていうなら
「ひとりひとりの人たちの個性や特徴を尊重し、共に存在すること」だそうです。
学校や会社、組織、共同体にいる様々な人たちが皆、ありのままでいて良いんですよって社会。
色々な人がいるから組織が強くなる
GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック<現・メタ>・アップル・マイクロソフト)と呼ばれる世界的なIT企業が多様性を尊重することで、イノベーションを起こし世界的な大企業までに成長したのは言うまでもない有名な話です。
さまざまなバックグラウンドをもつ人たちが多角的な視点から物事を考え、新たなアイディアを形にし
世の中を劇的に変える製品を世に送り出し続けています。
実際に、それを裏付ける研究や事例はたくさんあるそうです。
考え方が違う人の意見やアイディアを頭ごなしに否定するのではなく、ひとつのアイディアとして認め、吟味したり検討したりすることで新しい何かが生まれるってことですよね。
みんな同じ考え方の連中しかいない組織や、上司に忖度して意見を言い出せないような会議ではイノベーションは生まれませんよね。
本当の意味での多様性
みなさんの想像する「多様性」とは一体どんな感じでしょうか?
「国籍や人種、宗教、文化、などの価値観の違う人たちとも、みんな仲よくしよう」みたいな感じでしょうか?
出口先生の仰る、一歩先を行く本当の意味での多様とは
「人種や国籍と言ったわかりやすい「違い」は必要ない」のだと。
真の多様性とは「ひとりひとり違う」ということだからです。
引用元:働く君に伝えたい「考える」の始め方 著者:出口治明
遠いアフリカの地に住む人も、お隣に住んでいる人も、会社の同僚も、学校のクラスメイトも、友達も、ひとつ屋根の下で暮らす家族ですらさえも、ぼくたちはみんな「違う」んです。
考えるための3つのコツ
多種多様な「自分とは違う人」たちとコミュニケーションをとったり、自分の意見を相手に解りやすく確実に伝えるのには3つのコツがあります。
- 数字
- ファクト(事実)
- ロジック(論理)
この3つに、時と場合によっては「図」も使いながらやりとりをすることで
あいまいな表現や、いわゆる「いわずもがな」とか「わかってくれてるはず」など伝わり方のズレを防げます。
数字、ファクト、ロジック、図。これらは「どんな価値観の人でも同じ意味を共有できる」ものです。
数字
まずは数字です。
数学は世界共通語だと言われているのをご存知でしょうか?
どんな国でも「1+1=」の数式が「2」以外になることはないんです。
例えば・・・・
あなたは小売店で働いていて商品の発注を担当しているとしましょう。
上司に「この商品は売れているから多めに発注しておいて」と言われたら。
部下であるあなたは、いくつ発注すればよいかわかりますか?
どれくらい売れているのか?いくつ発注すればいいのか?
「商品が売れている」の解釈は人それぞれ違うかもしれません。
「多めに」の感覚も上司と部下ではズレがあるかもしれません。
正直このような指示しか出せないような上司は「考える力」のない上司と思われてしまいます。
もし、みなさんが部下の立場なら「いくつ売れていて、いくつ発注すればいいのか?」を訊いてみましょう。
答えられるといいんですけどね・・・・。
ファクト
ファクトとは事実。
偽の情報でなく正しい事実が重要です。
ここで間違った情報をもとにロジックへ移行すると正しく考える事が出来ないんです。
それどころか間違った答えを導き出してしまうことすらありますね。
“フェイク”ではなく”ファクト”をしっかり見極めましょう。
ロジック
人それぞれ違う感想や感覚のような、あやふやものではなくファクトを材料にロジックを組み立てましょう。
ロジックには三段論法を使います。
三段論法とは、AならB、BならC、よってAならCである、という考え方。
引用元:働く君に伝えたい「考える」の始め方 著者:出口治明
正しい情報を起点として、事実や根拠を重ねて結論に導いていきます。
Aには、普遍的な真実やルールなどが当てはまります。
(例1)
会社員はいつか必ず異動する。うちの上司は会社員だ。よって、うちの上司はいつか必ず異動する。
(例2)
掃除機を買うと洗濯機が買えない。洗濯機が買えないと、洗濯ができない。よって掃除機を買うと洗濯ができない。
この三段論法を使うことで自分の意菌に矛盾が少なくなっていきます。
ポイントは、誰にとっても「正しい前提」を使う事。
「暑い」とか「キツイ」とか、人によって感じ方が違うものを前提にしてしまうと論理があやふやなものになってしまいます。
3つのコツと図とを合わせることで言葉よりも明確に主張を相手に伝えることができます。
いかに「同じ意味を持つ共通言語」を使うかどうかが肝になるわけです
考えるとは?
正しく知って、正しく考える
なにかを考えるとき、なにも情報が無いまっさらな状態から思考を組み立てる事は出来ないはずです。
考える対象となるものや、あるいは対象の周囲にある情報を「知る」必要があるはずです。
「思う」や「悩む」との違いは、この「知る」プロセスが必要かどうかにあります。
ここで重要なのは、最初に仕入れる情報に間違いがあってはいけない事です。
誤った情報や知識からは正しい正解には辿りつけません。
考えるのステップ
「考える」とは、まず問いを持つことからはじまります。
引用元:働く君に伝えたい「考える」の始め方 著者:出口治明
「これってホントにあっているだろうか?」と疑ってみることからはじまります。
問いを自ら創り出し答えをもとめていくことが考えると言えるんだと思います。
考えるのに有効な3つのステップがあります。
- 目の前にある違和感を見逃さない
- 疑ったルールや事象に対して「なぜ」「どうすればいいか」を考える
- おかしいと思ったら声を挙げ、説明する
- 問わなければ、考えられません。
- 考えなければ、議論を起こせません。
- 議論を起こさなければ、いつまでも理不尽を押し付けられる。
学校や会社などで意味のない理不尽な校則やルールなどに、疑問を持たずに従っていませんか?
気付いていないうちに、だれも得しないモノに縛られっぱなしかもしれませんね。
考えるのプロセス
知り、学ぶ。問い、考える。
先ほども述べましたが考えるために必要な材料としての情報が間違っていては正しく考えられません。
正しく知ってこそ、正しく考えることができる。
引用元:働く君に伝えたい「考える」の始め方 著者:出口治明
何かを考えるとき、何の情報もない、まっさらな状態から思考を組み立てることはできません。
思考のための三種の神器
思考のツール
- タテ
- ヨコ
- 算数
タテ
タテとは「歴史」。歴史の時間軸の事です。
昔の人はどう考え、どう決めてきたのか?
ここ数十年だけをみても、社会は大きく変化していますが
逆に1万年も変わっていないものがあります。
それは人間の脳です。
人間の脳は、ここ1万年ほどまったく進化していないのです。
だから、先人の知恵は役に立つのです。
ヨコ
ヨコとは「世界」。
他の国や地域を参考にすること。
なにか解決すべき問題が起きたとき、
自国の状況だけ見て必死に議論しても、井の中の蛙にすぎなかった・・・という事も多々あります。
地球上にはたくさんの国があり、それぞれの問題をそれぞれに解決して自国をよりよくしていっています。
視野を広げ、海の向こうから学ばさせて頂きましょう。
自分たちが抱えている問題と似たような問題に直面し、すでに解決している国もあるかもしれません。
算数とは「数字やエビデンス」
算数とは「数字やエビデンス」。
「誰が見て考えても同じ結論に至るデータ」のことです。
書籍の中のわかりやすい例えをひとつご紹介いたしますね。
日本の政治家のいわゆる「政治と金」問題がニュースなどで取り沙汰されるたびに
「日本の政治家の数が多すぎる」と意見する人がいます。
街頭インタビューなどでも聞いたことがあるかもしれません。
が、しかし、本当にそうなのでしょうか?
ここまでくるとお察しの通り、そうではないのです。
下の画像のランキングをご覧になって頂くとお分かりいただけると思います。
人口100万人あたりの国会議員の数の日本のランキングは188位中で168位とかなり下位です。
イギリスは22.48人で90位
フランスは14.01人で119位
日本は、なんと5.63人で168位
実際に数字で見てみるとイメージとでは意外とかけ離れていることなんて多々あるものです。
考えることを阻害するもの
僕らが、何かを考える事を邪魔するものに「バイアス」というものがあります。
この「バイアス」という言葉は「偏見」や「先入観」という意味の英単語です。
日本語でいうと「固定概念」という感じでしょうか?
「根拠のない思い込み」「勝手な決めつけ」ともいえるでしょう。
このバイアスが邪魔をすると、物事の本質を見抜けず、うがったものの見方や考え方に陥ってしまい、
正しく考えることができなくなってしまいます。
「東京大学の卒業生は仕事がで出来る」とか
「関西出身だからケチでお金にうるさい」とか
「最近の若者は本を読まない」とか
なんとなく、勝手に決めつけて信じ込んでいることって少なからずあると思うんです。
でも、お寿司屋さんで働く人でも魚が嫌いな人だっていると思うし、バイク屋さんで働く人の中には普段バイクに乗らない人だっているかもしれません。
アンコンシャス・バイアス
以前、当ブログでも紹介したこともありますが、
世の中には「考える楽しさ」や「考える必要性」を謳う書籍がたくさんあります。
考える必要性が高まっている、と同時に、正しく考えられる人が減ってきているんだと思います。
そもそも考えることのスタートラインにすら立てていないのだと出口先生は仰っています。
その最大の敵がアンコンシャス・バイアスと言っても過言ではないのです。
我々の思考を阻む最大の敵のバイアス
「無意識の偏見」
「属性に対する根深い偏見」
「ステレオタイプな価値観」
「根拠のない思い込み」
バイアスを壊す3点セット
では、どのように「無意識の偏見」に気づき、それを克服していくのか。
それは勉強です。勉強こそがバイアスを壊すのです。
ここで言う勉強とは、いわゆる机上の勉強の事でありません。
真の勉強とは「人・本・旅」の3つしかないと言っても過言ではありません。
自分の狭い頭の中、あるいは自分の半径数メートルに限られた常識から飛び出て、
さまざまな知を得ることができるのです。
「人・本・旅」を意識した勉強こそが、広く深い、本質的な世界を見ることができるのです。
人
たくさんの人と出会い、多くの考え方や価値観、文化に触れる事です。
多様性に触れることで自分の幅も広がっていきます。
人間は、他人から学ぶ生き物です。
自分とは違うタイプの人と触れ合い、考えを吸収することで多くの刺激と学びを得られるのです。
ここでのポイントは「自分とは違うタイプの人」という点ですね。
似たような考え方、価値観、経済力を持つ人たちが集まっているような場(同質集団)では刺激や学びはあまり多くはないでしょう。
たとえば幼稚園から高校・大学までつづく私立の一貫校に通っていた人は、
似たような家庭環境(家族関係、経済状況)で育った友達が多いはずです。
こうした集団では、知らず知らずのうちに考えが凝り固まってしまい、アンコンシャス・バイアスがより強化されてしまう傾向にあるんだそうです。
物事の良し悪しや、進学や就職に対する考え方などのさまざまな価値観が似通ってくるはずです。
特にそういった人たちだけが就きやすい職種がいくつも思いつくのではないでしょうか?
バイアスを外し、考える力をつけるためには、意識して「いつもと違う人」と会う必要があるのです。
「自分と違う『当たり前』を持っている人」とコミュニケーションを取る努力をすることが大事です。
強固なアンコンシャス・バイアスの持ち主の人は、阿吽の呼吸、同調、共感が生まれにくいため
友達になれないと感じることも多いかもしれませんが、その「違い」こそが学びなのです。
大切なことは「自分と違うこと」を否定しないことです。
自分が触れたことのない分野に詳しい人、生まれ育った環境がまったく違う人、自分とは正反対の価値観の人、自分の知らなかったことを教えてくれる人と話すことは、きっと楽しいはずです。
勇気をもって人から学びを得てみてください。
本
毎日本を読む習慣のない人の方が多いかもしれませんね。
逆に本を読む人は、本を開かない日はないという人もいることでしょう。
体感で「本よよく読む人は色んなことを知っている」と感じている人も多いハズです。
それは当然のことです。
ひとたび、本を開けば、そこには知らなかった世界が広がっているのです。
知らなかった事を知り、新しい考えに触れ、世界が人がっていくような感覚が得られることでしょう。
自分がいかにものを知らなかったのか、狭い世界で生きれいるのか、
偏った価値観や固定概念でモノゴトを考えていたんだと、思い知らされることにもなるでしょう。
旅
ここで言う「旅」とは「旅行」とは少し違い
出口先生の言う旅とは「自分の足で現場に行く」こと全般を意味します。
自分の足で移動して、自分の目でものごとを見て、経験するー
これが、旅の本質です。
TVやYouTubeなどで映像や音声だけは簡単に視聴することはできますが
香りが鼻孔を刺激することもないし、吹いている風を感じることもできませんし、美味しい郷土料理も味わえません。
勉強した人に見えてくる「ほんとう」
例えば、「イスラム教」ときいて、どんな風なイメージを持ちますか?
ネガティブなイメージを持つ方もいるのではないでしょうか?
何で知った情報かも覚えていないような記憶とイメージが、
あたかも、それが全てかの如く信じ込んでいませんか?
歴史的、文化的な原理原則は、本で学べます。
イスラム教の友達がいれば、人で学べます。
実際のイスラム文化は、旅で学べます。
さいごに
考え方が変われば行動が変わります。
考えられるチカラを身につけて、その先は、そのチカラを駆使し行動に移していきましょう。
せっかく新しい価値観や考え方を得たらそれに基づき行動し生きていくことで
我々も、あなたがたも人生が豊かになり幸せにつながってゆくんだとボクも思います。
当ブログや出口先生の本が皆さまの「考えることを考える」きっかけになってくれれば嬉しいです。
最後に、何について考えるかを考えてみてはいかがでしょうか?
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